爬虫類/両生類の病気 | 広島市東区の動物病院『はちペットクリニック∞』
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先祖は太古の昔から

爬虫類と一言でいってしまうと、何千というたくさんの種類にあふれていて語りつくせたものではありません。

 

爬虫類の分類
総称
カメ目 陸生/水棲ガメ類 13 75
244
有鱗目 トカゲ類 16 383
3570
 ミズトカゲ類 4 21 140
ヘビ類 11 417 2390
ムカシトカゲ目 1 2
ワニ目 3 9 23

驚くべきことに爬虫類は、およそ3億1500万年前に地球に登場したといわれる、大先輩の生き物です。
私たちと比較して大きく違う点は、外気温動物(変温動物)であることと、鱗だったり甲羅を持っていることでしょうか。カメレオンにいたっては皮膚の色まで変えられます。

住んでいるところも、砂漠だったり熱帯だったりいろいろ。ペットとして飼うためには、環境や食事の内容いろいろ知って準備すること、そしてそのペットにあった飼育環境を準備できるかについても考えてみてください。正しい飼育管理で末長く付き合っていきたいものですが、爬虫類の病気や飼育に関する情報はいまだに十分とはいえません。

病院にやってくる爬虫類の病気には、飼育環境の問題に起因する病気が多いように思えます。
ペットブームで爬虫類を飼うことに人気が高まっていますが、初心者の方は出来るだけ飼育情報が多くわかっているものを選ぶようにしてください。

爬虫類(カメ)の病気1

カメの中耳炎

見た目はおたふく風邪?!

鼓膜の内側のことを『中耳』といい、そこに炎症を起こすことを『中耳炎』といいます。 カメには外耳がないのでどこに耳があるのか分かりにくいですが、目の後方に位置し、膿がたまってくると写真のように膨らんできます。

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矢印:中耳に膿(枠写真)がたまって腫脹している。

水質の悪化などにより中耳や内耳に細菌が感染し化膿することが原因です。通常は、元気・食欲などは正常です。
治療は、外科的に切開し膿を取り出すことと抗生物質の投薬になります。

甲羅の損傷

気を付けよう!原因は殆どが事故によるもの。

甲羅の損傷は、ベランダなどからの落下事故や交通事故、犬に噛まれるなどの外傷事故が最も多い原因です。稀に、代謝性骨疾患(爬虫類の病気2を参照)により甲羅が軟化しているために発生することもあります。

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特に背甲(背中側の甲羅)の損傷は、肺の挫傷や脊椎損傷を伴うと予後不良となるので注意が必要です。
治療は、患部の消毒や抗生物質等の投薬、甲羅の亀裂や崩壊が重度であれば甲羅の修復を行ないます。感染をコントロールせず、甲羅だけ修復しても改善は望めません。

甲羅・皮膚の感染症

よく皮膚の色を観察してみてください

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左上(ワニガメ):全身の皮膚に赤い炎症
右上(ミドリガメ):腕に硬い膿がたまり腫脹
左下(スッポンモドキ):感染で甲羅が溶け骨が露出
右下(ニオイガメ):甲羅の感染・炎症

水の交換不足による水質の悪化や紫外線不足などの飼育方法が原因となるケースが多いです。細菌や真菌の感染により皮膚病がおこります。重篤な場合は、皮膚だけでなく全身の感染症(敗血症)を併発し予後不良となることもあります。

軽度の場合は、薬浴や塗り薬での治療、全身性の場合は抗真菌薬・抗生物質の投薬が必要です。
治療の前にまず、適切な飼育環境の見直しをしましょう。水棲のカメでは、甲羅が完全につかる水の深さと甲羅干し(日光浴)が出来る必要があります。投薬も適切な飼育環境でなければ治療効果が得られません。

代謝性骨疾患

嘴の変形、甲羅の変形や軟化、四肢の長骨の湾曲、成長遅延、骨折等がみられます。
紫外線不足、ビタミンD3不足、食餌のカルシウムとリンの不均衡などが原因です。
一般的に紫外線照射(日光浴)とカルシウムの投与および適切な飼育環境への改善を行なう必要があります。爬虫類の病気2にも記載がありますので、参考にしてください。

代謝性疾患の代表 代謝性骨疾患(MBD)

食事、紫外線は十分?

代謝性骨疾患は「Metabolic Bone Disease(MBD)」、他にも栄養性二次性上皮小体機能亢進症、くる病、骨粗鬆症、骨軟化症などとも呼ばれています。イグアナ、カメレオン、トカゲ、カメなどあるゆる爬虫類での発症が見られます。

こんな症状はありませんか?

☆歩き方がおかしい。
(足をひきずる、お腹を引きずって歩く。)
☆手足が腫れており踏ん張れない。
☆簡単に骨折したことがある。
☆上顎と下顎のかみ合わせが悪く、特に下顎が腫れている。
☆成長期時期に大きくならない。
☆食欲・元気がない。

MBD

エボシカメレオン: 枠内の正常写真と比較して骨が薄く輪郭不明瞭で変形している。

一般にカルシウム、ビタミンDの不足した食事や、カルシウムとリンの比率がアンバランスな食事の長期間給餌、また長期間に及ぶ紫外線照射不足などが原因でおこります。
低カルシウム血症が併発すると、痙攣や発作がみられる場合もあります。変形してしまった骨は正常な形になることはありません。そのため、若い成長期個体では早めに異常を見つけることが大事です。

予防には、適切な食事内容、特にカルシウム:リンが2:1以上の割合でカルシウムの方が多い餌を与えることや、十分に運動できるスペースの確保、有効な紫外線の照射や適切な飼育温度を保つことです。

腸閉塞

床材やペットシーツなど餌と一緒に異物を摂取してしまう危険性もあるので、注意が必要です。内科療法で対応できない場合は、摘出手術が必要となります。痩せて状態がかなり悪くなってからでは、治療後の回復も見込めないこともあるため、なるたけ早めに受診することが重要です。

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腸内異物でせり出した腹部(ヒョウモントカゲモドキ)

床材の砂を摂取していた症例。摘出後

卵詰まり/卵管脱

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両生類の病気

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